■今年初めにSTVがニュース番組で創成川沿いにいたホームレスのおじさんを取り上げ、YouTubeに動画配信もした。取り上げられ方がホームレス支援問題を考えるという体を取っているものの、映像表現や言葉の端々に「街にいるのは正しくない」という排除の論理を肯定する姿勢が見え隠れしていた。これについて、既存のホームレスや生活困窮者支援の隙間を埋める活動をしている一般社団法人whocaresがSTVに抗議しBPOにも番組審査を申し立てた。BPOでの審議を受けた当事者の一方であるSTVの見解は以下のようなものになった。
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■話は一段落したことになったが、一過性のものにしてはいけないという思いがあったので、経緯についてまとめた同人誌(今風にいうとzine)を作ることになった。自分はそれを横目で見ながら応援していたような立場だったのだけど、それが完成したということで寄贈してもらった。ちょうど22日の日曜日に文学フリマ札幌が行われるのでそこで即売もしたとのこと。
■改めてまとまったものを読むと、メディアリテラシーの大切さがよくわかる。発信者は多分善きこととしてホームレスのおじさんを取材して番組にしているが、制作者自身の内に存在している善きことの中の排除の論理が映像表現や言葉に滲み出てしまうのだ。メディアリテラシーは受け手だけではなく発信者こそ学ぶべきものだと思う。
■ちなみに取材されたおじさんは、今は創成川沿いにはいない。荷物も無くなって別の所に移っている。さて、ホームレス支援についての番組を作ったというSTVはその後についてはどう考えているのだろうか。まさか、公共の場を占拠していた人が居なくなり良かった、という表面的な心地よさの回復を寿ぐわけではあるまい。(水曜日)