■「シン・仮面ライダー」と「エブリシング・エブリウェア・オールアトワンス」の二本を観た。
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■「シン・仮面ライダー」は一連の「シン」シリーズを見ているし、庵野だし…と義務履行的に。それほど期待していなかったが、主に過去の仮面ライダーにまつわるトリビアルな情報を組み立てて一本の映画が出来ていて、オタク的に「このシーンのあれは」「この人が出ているのか」というような情報の読み解きをする感じで観た。そういう欲求を満足させてくれるものだったので良し。カッコいいしね。そういう成分を摂取したくなる時があるのですよ。
■「エブリシング…」(以下エブエブ)は、アカデミー賞を取ったSFだよくらいしか情報が無いままに観たら、大当たりだった。これはSFファンは観ておいた方がいい。多元宇宙という設定でコメディやりながら、現代の世界で問題になっている移民・LGBTQ・貧困といったテーマを織り込んで二時間超のドラマにしちゃっている。アクションも美術も素晴らしい。ラストは家族主義的に見えるけど、多元宇宙の設定によって決して単純なものになっていなくて、後から考えることができる。
■「シン・仮面ライダー」の読み解くような映画の観方は、JRPGにも似ている。表面上あるストーリー以外に、色々な設定や裏技を見つけて楽しむような。一方「エブエブ」は物語を語るための要素としてSF的設定がある。多元宇宙をジャンプするという時に、超カッコいいメカが描写されるわけではない。むしろ「その瞬間にやるはずもないような突拍子もないことをする」というのが大事な鍵になる、という設定がされていて、これがバカバカしさと狂気を物語に振りかけていく。この感覚はハードSFを読んだ時の感覚だ。ただ、「エブエブ」はSFの設定がわからないと、スラップスティックコメディに敵が誰なのかよくわからないアクションが入って時々関係ないドラマのシーンが割り込んでくるという変な映画にもなってしまうところが難点か。
■とりあえず、どちらの映画についても話せますので、最近観た人は語りましょう。(火曜日)