漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

NPO×市職員

■昨日、北海道フリースクール等ネットワークの仕事で「NPO等×市職員『次世代』政策検討ワークショップ」なる会議に出た。学齢期の子ども対象(ここに参加)、就職~育児世代対象、環境分野対象の3テーブルに分かれて話し合う。おなじテーブルにKacotamとE-Linkがいた。

■各団体より社会課題のプレゼンがあり、その後、市職員を交えて解決プランを考える。もちろん限られた時間で画期的なアイディアなど出るわけはなく、まずは互いの考えを知る、挨拶代わりの会だ。背景には、特に若い世代で、行政とNPOの垣根が高くなったとの認識がある。なのでタイトルに「次世代」がつく。若くない俺は一歩引いて見ていた。

■Kacotamは「学びの教育格差」を訴えた。道内平均7割の大学進学率が、生活保護世帯だと36.7%に、児童養護施設だと27.9%に下がる。おもしろいと思ったのが、札幌市内で児童扶養手当受給資格のある子のうち、なんらかの学習支援を利用しているのはおよそ3.7%なんだそうだ。不登校フリースクールなど民間施設を利用している子の割合もおなじくらい。場所を用意し「おいで」と呼びかけて来るのはその程度、がんばっても5%くらいなのではないか。

■そういう話をするとすぐアウトリーチだ、オンラインだと張り切る人が出てくるけれど、相手が望まなければどんな方法も効果はない。なので、ちゃんと要望や困りごとを聞きましょう。子供や保護者を支援対象と見るのではなく、施策立案のパートナーとして遇しましょうというのが北海道フリースクール等ネットワークの提案。札幌市はいろいろ不登校対策をしているが、どうもうまくヒットしない。札幌市だけじゃない、日本中そうなのは、子供の話を聞かないからでしょう。子どもの権利条例を持つ札幌市だもの。意見表明権を保障しよう。

■その意味では、E-Linkが傍聴席に利用者の中学生を連れてきていたのはとてもよかった。急に話を振られたにもかかわらず、きちんと意見を述べていた。あとは聞いた側の課題。

■札幌市全体で考えた方がいいものと、もっと小さい単位で考えた方がいいものと、両方ある。NPOと行政で一緒になにかするなら、おそらく後者なのではないか。各団体の話を聞きながらそんなことを考えた。小規模多機能自治なら、おおよそ小学校の校区を単位に住民が参加する。札幌には「市民が主体まちづくり」の拠点としてまちづくりセンターがあるが、市内86か所と小学校の半分以下だ。たとえば、これを倍にし、現在の連合町内会主体のまちセンと、NPO主体のまちセンをつくるとか。NPOの方は分野横断で複数団体の協議会とするのもいい。

■終了後もあれこれ考えながら地下街を歩いていたら、気になっていたSAPLANDという靴を見つけた。札幌市と、姉妹都市ポートランドから名前を取った、冬道を快適に歩くため開発された靴だ。靴裏をさわると、なるほどこれは滑らなそうだ。買おうかどうしようか。