漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

合同教研テーマ討論

■今年の合同教研は11月12・13日の開催だけど、その前の5日にテーマ討論がありそれに参加。「すべての子どもたちの学びと発達する権利を保障する家庭・地域・学校の連携~成長・発達を支える地域づくり」というテーマの分科会である。

■パネラーは四人、小学校教諭で来春「まおいまなびの里小学校」で働く方、後志地方の特別支援学校教諭、桧山地方の元校長で現教育委員会職員の方、そして自分だ。権利保障を考えるということで、まず各々が経験してきた権利についてのエピソードを語り、その後権利保障に必要な家庭・地域・学校の連携について話をするという流れであった。

■現場の教員二人に共通していたのは、学校スタンダードに象徴される子供に対する指導指示圧力の強さであった。小学校や特別支援学校という個々の発達にばらつきが大きいところほど、その圧力を感じるものなのかもしれない。できないことを叱られるシーンや〇〇教育という名前の指導を次から次に求められるなど、教員の負担が高まっている現状が報告されていた。

■元校長であった方からは、2009年型教師観と言われる「・仕事と私生活を切り離して割り切り・教師としての自分の仕事の範囲を限定し・管理職の指導のもとで・学力向上という学校の組織目標の実現に励む」という姿を批判的に捉えるという話があった。そうした教師像から、人間の発達がジグザクと進むことや子供の「問題行動」の発達上の必要性を理解して、発達観の再構築を目指すべしという話であった。

■自分からは、相談支援パートナーとして学校現場で見聞きした事例から、教育問題に限らずジェンダーや労働面から教師自身の人権が侵害されているのではないか、また家庭や地域も子弟に教育を授ける権利が奪われているのかもしれないこと、それらが全体として子供に対してきつい状況を生んでいるのではないか、という話をした。

■やりとりの中で印象的だったのは、教育機会確保法の不登校は問題行動ではないという精神の理解が進んでいるという評価を元校長がしていたことだった。これについては、日誌の中でも何度か取り上げているが、道教委が確保法成立以後の不登校児童生徒対策協議会の中で明確に学校復帰に向けた支援を行うと話しているので
2019-12-28から1日間の記事一覧 - 漂流日誌
管理職から見た景色と現場の有り方はかなり違うという話をしておいた。これについては、結構しっかりと話をしていかないと、勘違いする人が増えそうな予感。

■全体としては、テーマ討論に向けた話し合いは盛り上がったが、パネラーと会場にはそれを伝えきれなかった印象だった。あんまり質疑応答も盛り上がらなかったしね。(木曜日)