漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ソシャゲ教育

■「コロナ下の不登校、最多19万人 いじめ9万件減、休校が影響」という新聞の見出しに苦笑する。わざとなのか偶然か、見出しだけ見れば、学校はない方がいいと読める。だっていじめが9万件も減るのだ。

■とはいえ、勉強もしなくていいですよということにはならないので「個別最適化された学習」が進むのだろう。山田の紹介する「不登校に関する調査研究協力者会議」や「教育DX」でもICTをつかった学習に言及している。

■「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」はいろいろおもしろくて、たとえば教育支援センター(適応指導教室)は北海道内179自治体に57箇所しかない。そのうちの6つは札幌だ。文科省はセンター設置推進を唱えるが、子供が減り学校の統廃合が進む地域で、さらに少ない不登校の児童生徒のため施設と人員を用意するのは難しい。「教育DX」のオンラインイベントはその点に触れ、「オンライン教育支援センター」の施策に取り組む。

具体的には、インターネット上に資格を持ったコーディネーターを組織し、カタリバにつながった段階で学校や家庭と個別の支援計画を立案。その上で若手のキャストと呼ばれるスタッフが子どもたちに伴走しながら、オンライン上で学習支援を行っているという。今村代表理事は「有資格者や良い支援者がいないという自治体もある。リアルで見つけようとするとフルタイムが前提となり雇えないかもしれないが、オンラインで募集すると、『在宅でできるなら』とたくさんの人から申し込みがある」と、支援人材の確保の面でのメリットも強調した。
教育DXで学びが変わる デジタル庁のキーパーソンが議論 | 教育新聞

遠距離でもかまわない。人材確保しやすく人件費も抑えられる。今後、北海道の教育支援センターはこのような形になっていくのではないか。調査によれば道内の教育支援センターの常勤指導員は4割、札幌に至ってはゼロで、外部に委託してもさほど問題はなさそうに見える。

■なんなら「不登校」という括り自体不要だ。個別の支援計画を不登校にだけ運用する必要はない。学校はクラス内で学力差がありすぎて一斉授業が難しくなっている。それぞれがそれぞれの理解と進度で学べばいい。そのための「個別最適化学習」だと進める人は言うだろう。そんなの規模の大きな赤ペン先生じゃないかと俺は思うけれど、教育が赤ペン先生でなにが悪いと考える人もきっといる。

■そもそもこれって「教育にかける金を抑えたい」って発想でしょ。基本プランは無料。より高度な内容は課金でどうぞ。そんなソシャゲ的な教育になんのかしらね。まあ、いまもそうと言やそうだが、格差是正を謳って実際は強化する流れが強まる。