漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査

不登校に関する調査研究協力者会議のことも考えねばならないけど、毎年恒例の調査結果についても触れねばなるまい。
www.mext.go.jp
令和2年度の理由別長期欠席者のうち、不登校を理由とするものは小学校63,350人中学校132,777人合計196,127人との報告で、推移としては2013年以降の上昇トレンドをなぞり、前年度から14,855人(8.2%)増加。なお、コロナ流行前の2018年度2019年度の方が不登校増加率は高い。

■北海道の状況を見てみると、北海道で不登校が小学校2,710人中学校6,248人合計8,958人(合計人数昨年7,630人一昨年6,495人)、札幌は小学校1,075人中学校2,400人合計3,475人(合計人数昨年2,936人一昨年2,635人)と順調に増えている。

■さて、フリースクールをやっていた身としては、この内フリースクールを使っているのは何人くらいか気になるところ。民間団体・民間施設で相談指導を受けた人数は小学校2,873人中学校4,193人合計7,066人(令和元年度合計6,328人)。全体の増加人数1万5千人の内、民間団体・施設の増加分は700人強である。増加数に比して全然少ない。では教育支援センター(適応指導教室)の利用は増えているのかというと、なんとこれは昨年度よりも相談指導した人数が減っているのだ(元年度21,695人→令和2年度21,436人)。最近の不登校増加の理由を、教育機会確保法制定以降に不登校を支援する体制が整ってきたから、というような説明がなされることがあるが、これは当たっていないのではないか。無理やりこじつけるなら、そういう場所があるということが知らされただけで安心して不登校になるのだ、と言うことはできるかもしれないがそれを確かめるならそういう項目のアンケートでも取らない限りはわからないだろう。

■それならば、相談指導が増えた項目は何か。まず学校外では病院、診療所が21,899人→27,367人と5,468人の増加。学校内ではスクールカウンセラー、相談員等による相談を受けた人数が67,142人→72,325人と5,183人の増加。要はケア的性質を持ったところの利用が増えている。民間団体・施設もそうした性質があるから微増なのかもしれない。そして、不登校は学校においてケアが必要な何らかのダメージを負うことで起こると言えるのではないだろうか。