漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

大人に余裕を生むシステム

■6月の休校解除にあたり文科省は、感染不安から学校を休んでも、合理的な理由があれば欠席扱いにしないと見解を出した。

5月22日に通知したマニュアルでは、まず欠席させたい理由をよく聞き取り、学校の感染防止対策について十分説明するよう要請。その上で、感染経路が不明な患者が急激に増えているなどの事情があれば、入試などに影響する「欠席」ではなく、校長が出席しなくてもよいと認める「出席停止」として扱うことができるとした。

ぜんそくなど基礎疾患があり、重症化リスクの高い児童生徒などについても、保護者に主治医の見解を確認し、登校すべきでないと判断された場合は出席停止とするよう求めた。

現状は十分合理的な理由があると言えるだろう。一日の感染者数は緊急事態宣言時をはるかに超え、半数以上が経路不明だ。

■札幌市には「さっぽろっ子学習サポートシステム」なるものがあり、COVID-19の影響で登校できないあいだの学習をサポートする。教育委員会がネット上にアップした課題を解き、保護者が取りまとめて学校へ提出する。担任が学習内容を把握、評価することで指導要録上の出席扱いとする。課題は小学一年から中学三年までの全教科あり、いまも毎週木曜に更新されている(特別支援級のページもあるのだが放置されておりいただけない)。

■だから学校を休もうという話ではない(いや、休んでもいいんだけど)。子供の感染場所は家庭が約8割で、学校や保育園、幼稚園は約1割に過ぎないという報告を日本小児科学会がまとめている。そうではなくて、コロナが怖くて学校に行きたくないと子供が言い出したら、課題提出の条件つきではあるが、学校を休んでも欠席扱いにはならないのだから、大人は焦らずまず子供の話をよく聞いてあげてほしい。このシステムあると知れば、大人に少し余裕が生まれるんじゃないだろうか。

■もっとも知ったところで使えないということもある。保護者が家にいる、子供の勉強を見る余裕のある家庭じゃなければ十分な利用は難しい。出席扱いにするため、課題を強要される子供もいるかもしれない。このあたり不登校とおなじ問題を抱えている。大人の余裕をどう生むか。そこをサポートするのが教育委員会のすべきことになるんじゃないのかな。そんで一緒になにができるだろう。