漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

「おなじ」はいらない

新型コロナウイルスの対応に当たっている医療従事者らに「敬意と感謝の気持ちを示す」ため、航空自衛隊が東京上空にブルーインパルスを飛ばしたんだそうだ。日経新聞の記事には、外に出てスマホを構える自衛隊中央病院職員の(見栄えよく練られた構図の)写真が載っていて、白けた気持ちになる。
www.nikkei.com

■みんながおなじ時間におなじ空を見上げおなじものを見て、「心がひとつになった」と感じる、という仕掛けらしい。北海道にいる俺は当然その「みんな」に含まれないわけだけど、そもそもが決められた時間に決められたことをするのは「業務」ではないか。ただでさえ忙しい(その忙しさは政府の対応と無関係ではない)医療従事者に、さらに業務を課してどうする。むしろ欲しいのは好きな時間に好きなものを見たり見なかったりする自由だろう。

■外出自粛が推奨され、ずいぶん行動を制限された気がしていたけれど、本当に自由がなかったのは「仕事を休めなかった」人たちだ。そこへ「敬意と感謝」の証だとさらによけいな仕事を押しつける。お仕着せの「おなじ」はいらない。だいたいが好きに過ごせるなかでたまたま「おなじ」ものを見たから「つながった」気がするんでしょ。

twitterなんかでは感激している人もたくさんいて、そりゃなんかあればミサイルを飛ばす国も出てくるよ。航空ショーでチャラなら安いもんだ。そんで安定の決定プロセス非公開だし。意思決定を明らかにせず軍隊を動かす異常さはもっと追及されていい。
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