漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

俺の涙は軽いんだぜ

■そういえば先週は「この世界のさらにいくつもの片隅で」を観に行ったのだった。感動する映画のような取り上げられ方をされているが、観た感想としてはちょっと違うな、というのが正直なところだ。

■と思ったところで、どうも少し前の自分と変わったところがあるなと感じた。前はもっとこう、人を感動させるものに対して随分と身構えていたところがあって、泣かせにかかるとはしゃらくせえみたいな思いもあった。それがどうだ、今ではそんなことを大して気にかけなくなっている。「感動の大巨編」ええ、いいじゃないですか「ハートウォーミングなストーリー」まあ素敵。しかもそれで泣かなくなった鈍感になったとかではなく、むしろ逆に前より涙は出やすくなっていると思う。アニメ観て布団の中で号泣しているとか、ひと月に一度くらいはあるんじゃなかろうか。あ、昨日観た「映像研には手を出すな」の一話目でもほろりときたよ。

■しかし、その涙が軽い。これは、はっきりと感じる。泣いたところで、自分の中の何かが変わりましたみたいなことはホントに無くなった。そりゃそろそろ齢五十になろうとするわけで、いい加減涙の一つや二つ、二つや三つ流したところで自分が揺らぐようなことはまず無いくらいに人格完成してないと、ヤバいだろう。何となくそれを自覚したのが今回だった。おれを泣かせにかかるならご自由に、なんぼ泣いてもおれの中で何か変わる部分はもうほとんど無いみたいだ。ああ、年老いていくことの一つはこれなのだなあ。もう「涙の数だけ強くなれるよ」も頭打ちということです。おれが泣いても気にしないでよろしい。

■だからといって、人の涙が軽いわけではないから、人が流す涙には気をつけなきゃいかんね。(日曜日)