漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

見学について考える

■この間、札幌自由が丘学園の見学説明を聞く機会があったので、忘れないうちに思った事を書いておきます。

■見学時間は説明を入れて一時間と最初から決まっていました。指定された時間に行くと、利用者のいない静かな部屋に通され、そこで説明をうけました。「札幌にはフリースクールは10個ほどあり、それぞれ特色があります。なのでうちはこんな特徴があって、どんなことをしているかを説明したいと思います」と一番最初に言っていたのがよかった。今度から真似します。聞いている側(本人、親)からすると、その一言でぱっと選択肢が増えて気が楽になる。ここが合わなくても他があると思えるのはもちろん、もし通えなさそうでも、ここがダメなんじゃなくてここの特色が自分(子)には合わなかっただけなんだと納得出来る。そして妙に入会を押し付けている感もない。「うちはこういう所ですよ」という説明を聞いているだけなので、「そうなんだ」と素直に聞ける。素直に聞いているうちに、心に余裕が出来て、自分が通うとしたらどうかなと考えられる。後、最初に本人に簡単な書類を書いてもらうのも良いと思いました。指を動かすことで少しだけ緊張が解けてリラックスできる。そこを狙っているのかはわからないけど。

■うちの用にサラッと利用について説明した後、あとは実際に過ごしてみてください的な流れはやっぱり見学者側にとって苦しいなと思いました。自由が丘のように、最初から見学の時間を決めて、別室で説明したあと、活動の様子はスタッフが前に立って誘導し、適当なところで切り上げた後は玄関までお見送りす。こういう流れをスタッフが作らないと、緊張でガチガチの子は何もできないし、見学の際中は何も見えていないだろうなと思いました。漂流教室の場合はカリキュラムがないので(公園なので)帰るタイミングもより一層難しい。

■最初に漂流教室の説明をして、遊具の説明(ボードゲーム、漫画、楽器など)をして、気になったら実際にちょっと遊んでみて、星園の活動室も紹介して、エレベーターに気付かない人もいるので紹介して、なんなら自販機の場所も教えて、玄関まで見送って帰る。こういう一連の流れを決めてしまった方が、見学者側は楽なんじゃないかなと思いました。そして見学はこういう流れですよっていうのもどこかに明記しておく。見学いつでもOKですだけじゃ、見えなさすぎて見学すら行きづらいかもしれない。

■親はそこのシステムやカリキュラムが気になるけど、通う本人からすると、どんな人がいるのか、どんな物があるのかの方が気になる部分。見学のメインは来ている人と会う事だったりする場合もある。なので本当は最初からフリースペースに案内するんじゃなくて、自由が丘のように誰もいない場所で一呼吸おいてから利用者のいる部屋に案内したいんだけど、今の環境だとこれは難しいかな。廊下はもう寒くなるし。

■7月からフリースペースの利用料が無料となったため、見学4回まで無料というシステムはなくなったに等しいけど、それでも私が見学の時によく言う「曜日によって雰囲気が違うのでまた別の日にでも来てみてください」はもう止めようかなと思いました。初めから見学の日程を漂着の雰囲気のわかる曜日と時間に指定すればいいのであって、本人が「あと4回も行ける」と取るのか「あと4回も行かなきゃいけない」と取るかはわからないから。1回来てここは合わないなと思っている子がいたとしても、後4回は行ってみようよとすすめる人もいるだろうし。初めから「曜日によって、いる人は様々です」でよかったんだ。

■一緒に自由が丘の見学に行った子は、待ち合わせの時から「息してる?」ってぐらい緊張でガチガチでした。何も緊張することないよ、なんて言葉は、緊張している子には届かないんだなと思いました。