漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

こんなことを伝えに行く

■日曜日のイベント「教育機会確保法の見直しを考える」で決めたフリースクール全国ネットワーク総会で伝える確保法見直しへの意見は以下の様になった。Facebookに載せたものを転載する。

総勢17名の参加者で、話し合うことができました。山田が昨年の合同教研で発表した教育機会確保法の成立についてのレポートを元に、成立の経緯と今回の見直しで今のところ出てきているポイントを解説。その後、それぞれの意見をポストイットに書き出して見せあいながら、共通する意見をまとめていきました。

以前から危惧を抱いて成り行きを見てきた人もいれば、今回初めて気になって来たという人もいました。当事者たる不登校の人や保護者が、慣れない法律の文言を読み条文の解釈を行うのは時間が必要であることを実感した時間でした。果たしてそうした当事者主体の視点が、今の見直し論議の中にあるかを問う必要も感じました。

当日の話をうけて相馬が考えたことについてはこちら。話の内容にも踏み込んでいます。
https://hyouryu.hatenablog.jp/entry/2019/06/16/233000

二時間半という短い時間でしたが、来週のフリースクール全国ネットの総会へ持って行く意見を三つ決めました。山田による補足・解説を含めて以下に紹介します。

  1. 法案見直しについて動いているフリースクール議連等の動きを広く周知し、内容の情報公開を行い、民主主義的プロセスを重視するべく、多くの人が参加できるようにし、意見表明する場を作ること。たとえば、今般フリースクール全国ネットワーク名義で見直しについての要望が出されているが、見直しについての会議情報が直前にしか出ないことや要望の内容を時間が足りないという事務的な事情のみで様々な意見を聞かずに提出するようなことは止めてもらいたい。また、意見があれば直接持ち込んで話すようにという旨の発言がML上であったが、資金面人材面で余力が少ないことを調査でわかっている全国ネットの発言とは思えない。

  2. 個別学習計画を盛り込むことについては反対する。「制定されても使わずこれまで通りの不登校をしていてもいい」とするむきもあろうが、就学義務履行という実利と繋がるとそれは不登校当事者の中に断絶を生む。また、当事者や家庭が計画を巡って悩む状況を生み出す。その恐れが多分にあるのに、それを避ける仕組みが考慮されていない。更に、フリースクールとしては、個別学習計画はその実践を学校教育法第21条の中に押し込めるものであり、反対すべきである。

  3. 個別学習計画によることなく、不登校当事者とその家庭及び多様な教育を行う団体への経済的支援を行うよう見直すこと。フリースクールや「未来の教室」に代表されるようなEdTechに経済的支援が可能になる仕組みとして個別学習計画が提案されているが、一定の経済力があることを前提にするサービスが可能になるような法律となっている現状をより強固にする恐れが強い。法律制定中に社会問題としてクローズアップされてきた子どもの貧困に関する状況を鑑みても、個別学習計画を法律に入れることはできない。むしろ、子どもの貧困や地方財政の困窮状況、地方で異なる社会資源の質と量といった教育に関わる様々な格差を緩和するために、経済的支援を努力義務から義務に格上げし、対象も当事者・家庭・団体に広げる方向で見直すべきである。

なお上記に意見のある方はご連絡ください。意見に盛り込むように検討していきたいと思います。(山田)

■今さらながら思うけど、これ、不登校対策としての法律なんだから、教師にはもっと注目してほしいよな。個別学習計画なんか、教師の業務として求められることになるはずだけど。(水曜日)