漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

8050問題

■日曜日だが、KHJ北海道主催のひきこもり学習会「ひきこもり8050問題と命の危機予防を考える」を聞いてきた。講師はひきこもりについての視線にうなずけることの多い記事を書くジャーナリストの池上正樹さん。

■講演では事例がいくつか出たが、最近の事件を受けて当事者が感じていることをまとめていうと「居場所が無くなることへの危機感」になるだろう。物理的心理的に自分の生存が守られる聖域であった家に、外界からの視線が痛いほど刺さっている。親もそれを受けて、ひきこもる人への接し方が変化する。それぞれの苛立ちを増やして家庭内をギクシャクさせることが、世の中の人の望みではなかろう。

■続くシンポジウムでは登壇者の一人が、平均的人間像から距離を感じており企業社会への適応に著しい不安がある人が働く会社として「労働公社」という組織を提案していた。不登校対策として適応指導教室を作るようなものかなあ、と思いながら聞いていた。

■最近とみに思うのは、若者の生きづらさを支援することは実は中高年世代の生きづらさを支援することと繋がっていなければならないのではないか、ということだ。若者だから人生経験や資本が無いところを支援するということも必要だが、それを得た後にもひきこもる現状が既にある。中高年が生活を無事に送る道筋を今の若者に見せる必要もあるだろう。就職すれば終身雇用で無事過ごせるという世の中はとうにないのに、就活至上主義の中で汲々と学生時代を過ごすという矛盾した世界に若者は生きている。こりゃあ、やけにもなりやすいよ。

■などということを考えつつ、月曜日はソウアライブ仕事。途中で、余市の教育福祉村の理事になる打ち合わせで教育大の平野さんとワーキングランチ。夜、訪問先の顔合わせ。新しい訪問先が増えるぞ。(水曜日)