■登戸の事件で連日騒がしい。容疑者の自殺も相まって報道はオーバーヒート。だからといって毎日そんなに新しい「事実」が出てくるわけはない。ついに容疑者の自宅にテレビやゲーム機があったことまでニュースになっていた。
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■加熱する原因探しに宮崎勤事件を思い出す。あのときはマンガとアニメがやり玉にあがった。取材に入ったテレビクルーがわざわざ成人雑誌が上になるよう並び替え、扇情的な「画」を撮影した。「オタク」は犯罪者予備軍のように扱われ、たくさんマンガを買っていた俺は、自分がなにか事件を起こしたらこのマンガのせいにされるんだなと悲しい気持ちになった。
■センセーショナルな事件が起きると、事件そのものではなく、カテゴリーを問題にする人があらわれる。そこに分類される人を病巣のように切って捨てれば健全な世の中になると信じているようだ。さすがに今回のテレビとゲーム機報道には冷ややかな反応だったが、容疑者が「ひきこもり傾向」だったという報道は続いている。偏見や差別を助長するだけであり、ひきこもっている人たちを追い詰めるだけだと精神科医や支援団体が警鐘を鳴らしているが、おさまる気配はない。
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■働かない一割のアリを取り除いたら、働くアリばかりの集団になるか。犯罪が起きるたびカテゴリーを問題視するのもおなじことだ。対策ではない。多数派による少数派へのリンチみたいなもので、事件のたび新たな分類を見つけては叩いて最後は誰も残らない。勝山があえてひきこもり名人を名乗り『安心ひきこもりライフ』を提案するのは、そうしたレッテル貼りへのプロテストとともに、弱い立場に追いやられがちな人たちの防波堤になっているのだろう。