漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

いつのまにか

道教委と民間団体との懇談会。新しく、中学校の校長先生が校長会を代表して出席していた。いつも話題になるフリースクール利用を出席扱いするかどうかについて、道教委では各学校へ通知を出し周知をはかっている。校長会から出席者があったのも、その流れだろう。出席、進学、卒業は校長判断だからだ。ずいぶん理解は進んだと道教委は言うが、出席と認められているのは小学校で5割、中学校で6割だそう。

道教委把握の道内のフリースクール利用者は190名。不登校の児童生徒数は4,995名なので3.8%がフリースクールを利用していることになる。これは国の調査とほぼ一致する。実際は5%くらいじゃないかと思うが、どちらにせよ少ない。

■教育機会確保法ができて、行政と民間の距離はいくぶん縮まったように見える。同法は学校との協力、連携も勧めている。それでどうなったか。懇談で出てくる話題はもっぱら「学校復帰」についてだった。

■その兆候はあった。一昨年くらいから、通信制高校が学校紹介に「不登校の子の受け入れ」を掲げなくなった。かわりに大学進学をウリにしだした。懇談会でも通信制高校を母体にしたフリースクールが「学校復帰を進めている」と話していた。不登校の子供の教育機会確保のため、学校外の学びの場とも連携を進めなさいという法律が、登校、進学を自明のものとし、そのために官民が力をあわせるストーリーにすりかわっていた。

■まだ異は唱えられる。だが、学校復帰を進めない団体は「学校と協力していない」と判断されれば、「不登校の子のための多様な学びの場」からは除外されるだろう。

■クラスジャパンプロジェクトも同一線上にある。さて、フリースクールは今後いかにあるべきや。懇談会のあと、フリースクールネットワークの総会でそんな問いを投げかけておいた。もちろんすぐに答が出るわけではない。だが、フリースクールアイデンティティがはっきりしていなくては、そのネットワークだって形が決まらないのだ。さてさて、漂流教室はどこへ行く。(4/14夜)