漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

世田谷区から委託出る

■世田谷区が区内三カ所目となる適応指導教室を開設するのに、運営の業務委託を決めた。教育機会確保法を受けてのことで、今後、ほかの自治体にも広がるかもしれない。その場合、

  • 法人格を有する団体で、
  • これまで国や自治体の行う不登校支援に関する事業を実施したことがあり、
  • 教員免許取得者、心理学専攻者を職員として配置

このあたりはよそでも踏襲される公算が高い。年間委託費は3100万円。最低賃金や物価の違い、財政規模の差もあるからこの通りにはならないが、算定方法がわかれば参考にはなるだろう。

■施設設置の目的は、

心理的理由等により、不登校の状態にある児童・生徒に対して、次の各号に掲げる事項の実現を図ることを目的とする。

  1. 対人関係の中で対応できる能力を養い、自立を促すこと。
  2. 個別対応から集団生活に移行することにより、対人関係や集団生活への適応力を高めること。
  3. 将来の社会的自立に向けた支援を行うこと。

となっているが、業務内容には学習支援がしっかり記されており、学習計画もつくらねばならない。その他、当たり前だが、いろいろ細かな決まりがある。

■たとえば札幌で似たような案件が出て、漂流教室が受託したとして、どうなるか考えてみる。対象はその自治体に住む不登校の児童生徒なので、中学を卒業した利用者は受けられない。開室時間が定められているので、夕方からの利用も不可。土日は開けられないため、イベントや親の会を開くこともできない。もちろん訪問は業務に入っていない。

■以上のことは、委託業務ではなく漂流教室本体で行うとして、はたしてその体力があるか。どのみち人は雇わなくてはならない(教員免許も心理専攻でもないので)から、職員を増やして対応するか。委託金額次第ではあるが。そう考えると、学校法人が関わっているところ、星槎やクラーク、池上や形が学校に近いフリースクール、札幌自由が丘、北海道自由が丘などは強い。向こうを張ってアピールできるところがことごとく委託の対象外なんだよな。うむー。

■と、出てもいない案件に頭を悩ませているけれど、募集要項を見ると公募から選定までかなりタイトなスケジュールだ。前もって考えておいてきっと損はない。