漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

安心して休める学校

■昨日は札幌市不登校対策連絡協議会に出席。2016年度の札幌市の不登校児童生徒数は非公開であった。前年度より微増、2,000人超をキープとのことなので2,100人から2,200人のあいだなのだろうと予想する。

不登校は誰にでも起こり得る。だからこそ起こる前の予防、未然防止が大事である。担当部長はあいさつでこう述べた。悩みが出てからでは遅い。まだ形になっていない「悩み」をとらえる。「悩みの見える化」が必要だと、予備動作から攻撃を見抜く武道家のようなことを言う。「見える化」とはこういう形で使うのものだったのか。

■身もふたもないことを言えば、それで不登校は減らないだろう。四年連続の増加、特に小学生の不登校が増えているのは全国のトレンドと軌を一にする。原因が国の教育政策にあることは明白で、そのなかで札幌市だけ減らそうなんて、とてもじゃないが無理がある。以前も書いたが、不登校が減少に転じるのは2002年、いわゆる「ゆとり教育」と週五日制が導入されたときで、学校制度自体をゆるめないとどうしようもないのはもうハッキリしている。

■「とまこまい生きづラジオ」第三回でフリースクール利用者ふたりにインタビューしている。フリースクールでもよく休んでいたという話のあと、それぞれこんなことを言っている。

元の学校だったら休んだらもう行きにくくなっちゃうんですよ。でも、フリースクールってちょくちょく休んでるっていうか長期間休んでたりとかがあったんですけど、それでも最終的に行ってみようかなって、またみんなとかと楽しく遊んでっていうことを繰り返してたんだけど、そういうところも違うし、来なくても、ずっと来てなくて急に来てもなにも言われない。そういう空気感とかもけっこうよかった

勉強するペースとかもある程度は自分でつかめたから。中学校とかだと、中学校に行きにくくなった原因のひとつが勉強追いつけねーなーっていうのがあって。フリースクールに行ってちょくちょく休んだりとかしても、勉強はなんだかんだいって追いつけたから。ペース合わせてくれるからってのはありましたね


不登校が誰にでも起こり得るなら、「悩みになる前の悩み」を鵜の目鷹の目で探し、学校を休ませないようにするよりも、「休んでも大丈夫な学校」にすることが必要なんじゃないのか。逆説的だが、「安心して休める学校」が結果的に登校を促すと、このインタビューは伝えている。(このあたり、子供を産みやすい社会とも通じるものがあるね)