漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

APDEC

■8月1日JDEC終了後は、そのままアジア太平洋フリースクール大会(APDEC)に参加。自分は3日まで参加した。途中までの報告を。

■参加した国々は、日本・韓国・台湾・中国・香港・シンガポール・オーストラリア・マレーシア・インドがアジア太平洋地区。それ以外に、イギリス・アメリカ・イスラエルからも来ていた。総勢500名近い参加者の中で、日本からは100名もいただろうか。事務局に聞くと、予定していない人が宿泊するなどトラブルがとても多くて大変だったそうだ。国際大会は本当に大変なのだな。

■午前中に基調講演があり、午後に様々な分科会を行うという流れで行われた。基調講演は、オーストラリアのカランベーナスクールのセシリア・ブラッドレーさん、イギリスのサマーヒルスクールのヘンリー・レッドヘッドさん、韓国のミンドゥルレのキム・ギョンオクさん、日本の奥地圭子さんの四つを聴いた。前二者が自由や教育そのものを考える哲学的な視点からの話であったのに対して、後二者はそれぞれの国における学校教育に対する批判としてのフリースクールの有り様が語られていた。印象としては、日本のフリースクール運動は社会と切り結ぶ視点と自分たちのやっていることに対する思想的な射程が、外国に比べて少なく短い。確保法はその象徴と言えるかもしれない(cf.韓国 代案教育)。

■基調講演のフリースクールの中で、自然環境との触れ合いや遊びの大事さがどこでも語られていたのは、考えるヒントになった。総じて、現代社会でのテクノロジーが子供を取り囲んでいる状況については批判的で、オックスフォードの子供向け辞書で草花の名前が削除されてコンピューター関係の言葉が採用されたことなどは象徴的なエピソードとして語られていた。自然への無条件な郷愁というのは、世界中どこでもあるのだなと思った。
■自然の中で生きることには数千年以上にわたる知恵の蓄積が人類にはあるが、都市の中で生きることについては百年超の蓄積しかない。それなのに、すでに世界では都市的な生活を送る子供の方が多く、ほぼ変わることの無い自然の様子よりも十年単位で目まぐるしく変わる都市とテクノロジーが子供を取り巻いている。ここにおいて大人がやるべきことは、都市とテクノロジーの中でどのように生きるべきかというサバイバルスキルだと思うのだが、どうだろうか。

■分科会は「テストが現代の社会に合わない理由」「日本のオルタナティブ教育の現状」「自分の考えるよりよい社会」に参加してみた。印象的だったのは、台湾から来た人に子供の貧困について話した時で、奨学金が返却しなければならないローンであるという話には、信じられないと言われた。

■色々な人と話すのに英語を使ったが、いやはや全然使えなかったのが残念だった。聞き取るのはそこそこいけるのだが、こちらの思っていることを語るのが難しい。来年のAPDECはインドのバンガロールでやるとのこと。勉強して、行っちゃうか?(水曜日)