漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

不登校児童生徒への支援に関する中間報告

■日曜日はわざと寝ていた。布団でごろごろ。やはり休むと翌日が違うな。

文部科学省で「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」が発表された。文書はここ。ざっと読んでの感想を。

■これまでに作ってきた制度として、学校外施設の指導要録上の出席扱い(フリースクールを使うと出席扱いになります、というやつ)と全国11校の「不登校特例校」、IT活用について総括している。活用状況は大きく伸びていないとして、制度の検証と活用促進の必要性を述べている。不登校は誰にでも起こりうる問題であり、多様な要因・背景が考えられるので多方面の連携を必要とするとの総括もしているので、「不登校になったら」というパンフでも作って、当事者が利用できる様々な制度を紹介するようにしてはどうか。

■「不登校に対する基本的な考え方」の章では、1「将来の社会的自立に向けた支援の視点」という項目が立てられるが、その後4「将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割」について述べられる。最初の項目では、アンケート結果から学校へ行っておけばよかったという割合が多いということを述べつつ、「学校復帰以外の選択肢を提示することが、児童生徒の社会的自立に向けた支援となる」とまとめている。しかし、この文言の前には「場合によっては」という制限が着く。しかも、「学校教育の意義・役割」においては社会的自立には「学習支援」の視点が重要であると説き、義務教育段階の学校はその「機能と責務を有しており、その役割は大きい」とまとめる。結局、社会的自立の中核となるのは学校教育であるとなり、それ以外で育つ児童生徒については5「児童生徒の可能性を伸ばす学校の柔軟な対応」で、「場合によっては」「様々なツールを活用した社会的自立への支援も検討する必要がある」と書かれるにとどまる。最初に制度活用の促進を訴えた割には、トーンダウンしている感あり。

■6「働きかけることや関わることの重要性」も7「学校内外を通じた切れ目のない支援の充実」も、それぞれ「社会的自立」をうたうものの、自立には学校教育が必要→学校復帰を支援、という構図は崩れない。学校以外の学習機会として、教育支援センター、フリースクールや家庭などが挙げられるが、今回はそれに「地域未来塾」が加わってきた。これは文部科学省が子供の貧困対策の一環としても行っている事業で、中学生を対象とした原則無料の学習塾である。ここでも学習支援が中核になる。

■これまでに自分たちがやってきた支援を通じてわかっていることは、学習支援以外の居場所の必要性である。果たして、学習は「社会的自立」を目指すツールの一つでしかない。ツールを使う場所をどこに設定するかを考える必要があるはずだ。

■今回の中間報告での重点方策は「児童生徒理解・教育支援シート」だ。色々な情報を書き込んで、学校・関係機関での連携に使えるようにとのことだ。しかし、このシートに記入されている程度の情報は、各学校が個別に用意している不登校児童生徒のファイルに記載されていて、校内の支援委員会でも使われているだろう。なぜ今これが出てくるのか、よくわからない。

■第五章は「学校等における指導の改善」で、今後更に検討される個所だ。今のところ、フリースクールは上がってないのだが、法案次第ではここにフリースクールについて書かれることもあるのではないか。その時には、なんと書かれるか。最終報告のお楽しみ。(火曜日)