■通信に載せたものにやや加筆。二日目午前は「フリースクールにおける『普通教育』」分科会に出た。実践発表がふたつに研究者からの発表がふたつ。三重シューレの石山さんは教師だった経験を交えながら、理想の教育を目指してフリースクールを立ち上げた経緯を語った。底にあるのは民主的な学校運営。なにを決めるにもスタッフと利用者で話し合う。子供が主体的に動く手伝いをするのが大人。そのために徹底して評価をしない。特に「ほめる」ことはしない。そうやって対等な関係を保障する。レンタカーの手配まですべて子供がやったという修学旅行の話は面白かった。
■実践ふたりめは札幌自由が丘の高村さん。三重シューレが教育の「理念」を語ったのに対し、高村さんは教育実践を発表した。中学校との授業時数の比較で自由が丘の特徴があぶり出す手法は面白かった。特別活動が300時間を超えてるって、どれだけフリースクールにいるの!
■子供の意見をくみ取るための作文授業もいい。そして今年度から始めた評価活動。五段階評価をして、それを学校に伝えている。フリースクールらしくないと反発を呼びそうな試みだが、俺は面白いと思っている。よそとの連携は、自分の形を明らかにする。前述の授業時数と同じで、学校の形に寄せたことで、むしろ違いがはっきりする。学校が評価するポイントと、札幌自由が丘が評価するポイントは当然違う。多面的な見方は子供の「居場所」をつくる。
■もちろん気をつけなきゃいけない部分はあるんだけど、報告を聞いているとかなり細かく、まめに子供に説明をしている。この制度を取り入れることで、おそらく利用者とスタッフとの会話は増えている。今のところはいい面が出ているのじゃないか。
■三重シューレの石山さんが、こういうエピソードを紹介していた。職に就いた元利用者に、フリースクールと違って評価にさらされるが戸惑わないか尋ねたところ、仕事だからそういうものだと思っている、と答えたとのこと。石山さんはそこから、かつて自分の存在そのものを受けいられらた体験をした子は、そうじゃないところでも自信を持って生きていける、と推測していたが、同じことは札幌自由が丘の取り組みにも言えるのじゃないか。ほかの活動で存在そのものを受け入れられた利用者は、授業評価くらいではおそらく揺れない。
■研究者からの発表は次回に。(3/31)