漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

2013合同教研

不登校・高校中退分科会で出たレポートは6本。ここ数年では多い方だ。小学校の不登校が2本、中学校が1本、無料塾を始めた定時制高校の先生のレポートが1本、相談現場からのものが1本にひきこもりサポートが1本。

■学校からのものはどれも、校内でチームを組む、または学外の機関と提携して子供や家庭に対応した事例だった。学校が開かれてきていることを感じる。例えばある学校では、ひとりの不登校の子に対し、 また、自治体をまたいでの適応指導教室利用についての報告もあった。こういう対応がロールモデルになればいいと思う一方で、関わる人が増えればその分調整も大変になる。ひとつ間違えば教師の仕事が増えるだけになるのじゃないかと心配になる。ただ多くが関わるだけでは足りなくて、任せることができて初めて提携になる。それをどう伝えるか。

■困難を抱えた家庭の事例が多かった。無料塾を始めた先生の問題意識もそこにある。崩れかかっているものを、今なんとか食い止めないと、近い将来雪崩をうって壊れるのじゃないかという危機感。不登校や高校中退はひとつの象徴にすぎなくて、この分科会が扱うものは、人が生きていく道をどう支えるかということなのかもしれない。

■経済的に苦しい家庭の中学生への学習支援があちこちで行われている。しかし「貧困」とはお金の問題だけではない。金はほんの一要素、または指標だ。いわゆる「平均的な家庭」はなにを指すか。年収だけじゃない。親戚、知人、居住区、インフラその他もろもろの社会資源がそこには含まれる。しかも何代も前にさかのぼって。それに満たないものを「貧困」と呼ぶのではないか。

■各家庭に任せて触れてこなかった「見えない社会資源」を洗い出し、足りない部分を保障する。それが貧困対策で、塾の利用料を肩代わりすればいいというようなものじゃない。自分はどうやって生きてきて、彼らはどうやって生きていくのか。そんな議論をする分科会になっていくのかどうなのか。分かっているのは、もう学校だけに関わる話じゃないとはっきり見えてしまったことだ。だからこそ、ひきこもりサポートの報告が出たのだろう。来年はサポステに報告を依頼してはどうかと思う。

■閉塞感がなくなったのは、底が抜けちゃったからかな。ほんとにマズいよね、この状況。