漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

貧困問題の理解と支援方法

■講師は首都大学東京教授の岡部卓氏。ケースワーカーから学者になった人。前半は自身の体験をバックグラウンドに、様々な事例を含めて、制度について解説をしてくれた。

■生存が可能かどうかを基準とする絶対的貧困と社会の標準的な生活に参加することができない相対的貧困に加え、社会とのつながりが失われる社会的排除の状態と財を用いて何かを成し遂げる能力が失われるケイパビリティの欠如といった、新たな貧困についての概念が現代社会の貧困を捉えるために有効だという話があり。なるほど、自分たちがやっていることは、新たな概念の部分と密接に関わっている。不登校やひきこもりは、社会的排除の状態とケイパビリティの欠如を生んでいるな。

社会保障社会福祉の制度的違いについて詳しく学んだのはよかった。制度を知ることで、こちらの対応のバラエティが増えるからな。

■午後は、座学の残りと演習。演習では、対人サービスである福祉の現場で必要な接し方(受容と共感、傾聴など)をワーク形式でやった。多分、ここをしっかりやりたかったのだろうと思ったが、時間が押せ押せになって残念。

■ところで、岡部氏は生活保護政策において、様々な委員をしている人で、釧路の事例なんかにも当然詳しい。「対象となる人の居場所作りが大事」というのは、そんなこともあってのものか。今後はつながりがあるでしょうね、と挨拶して別れた。