漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

不登校の子どもたちの訴えに耳を傾けてみませんか

■体験者3人に話をしてもらう上で懸念がふたつあった。ひとつは学校批判に終始すること。もうひとつはフリースクール礼讃になること。過去にそういう展開を何度か見た。といって、初めから規制をかけるのも変なので、敢えて何も言わず任せてみた。結果、どちらも杞憂に終わりホッとした。3人に共通してたのは、「学校以外でも学ぶことはできる」「学校以外にも目を向けてみればいいよ」ということで、誰かも指摘してたが、恨み節のようなことは全くなかった。といって、きれいに清算されたわけではなく、話しながら涙ぐむ場面もあった。丸ごと抱えて生きるというのは、でも、そういうことだよね。なかったことにしない、というのは大事だと思うのです。

フリースクールを選んだのも「ただなんとなく」とか「たまたま」といった程度で、でも、「たまたま」の選択がうまくいく方が、これから生きていく上で自信になるんじゃない。だって、大概はっきり選択できる方が少ないもの。

■進行側として、彼らの話からフリースクール運営へつなげる流れは敢えてつくらなかった。それは作為的に過ぎる。3名の体験談を聞いた人がどう捉えるか、全部任せていいと思った。こちらからは、「不登校は学校というシステムの問題」、「『不登校』という言葉で括ることで個々の事情やシステムの不具合が見えなくなる」ということだけを確認した。学校に行けないというだけで自殺まで考えるような事態はおかしい、ということも言おうと思ったがやめた。恐らく言わずとも共有できてたと思うので。

■あとは、教育大の平野さんが冒頭に述べた、「人は他人からのまなざしによって自分を計る。不登校の状態がつらいならそれは世間のまなざしがつらいからだし、そういうものがないところでは子供たちは元気でいる」という話。さらにフロアからの「3人の体験はそれぞれオリジナルの体験で、それをそのままマニュアルのように使おうとしても上手くいかない」という発言で、何も言うべきことはなくなりました。あとはみんな好きに持って帰れ。教訓も役立つ情報もまとめたりしないよ。

■ただそれだと、何のために話したのか、という思いを発言者にさせる恐れがある。一定の方向や形を導かないと、役に立ったのか立ってないのか不安になることもあるだろう。事前の打ち合わせと事後のフォローが不可欠で、フォローはアンケート結果を共有してこなしたが、やはりもっと入念に打ち合わせをするべきだったな。それが反省点。

■聴衆およそ90人。アンケート回収率5割強。こちらにもレポートが載ってます。(『その6』まであり)