漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

北海道フリースクール等ネットワークフォーラム「持続可能なフリースクール」

■2月12日夜、市民ホールで開催されたフォーラムの報告。北海道フリースクール等ネットワークが行うフォーラムは、これまで不登校発達障害についてや居場所の有り様を取り上げてきたが、今回は自分たちフリースクール自身を取り上げた。結果としては、相馬氏が語るように「内向きには成功、外向きには失敗」というところだ。
■三人の若手スタッフが語ったことは、如何に毎日を過ごしているかということと自分の背景だった。三人は教育、臨床心理、福祉と大学で学んだことの実践をフリースクールという舞台で行おうという意欲を持ち働き始め、そこで子供の成長やフリースクールの意義についてすばらしいスピードで考えを重ねていた。そして、自分たちに続く若者を入れるためには、ボランティアを数多く入れてその魅力を広く伝えていくことが必要だという経営戦略にも触れていた。運営している立場から若手がそのように語っているのを見るのは、実に頼もしかった。この点、内向きの成功だ。
■しかし、今回のフォーラム参加者は50人前後と、今までの半分強。新聞に載ったのもそれほど遅くなかったし、広報はこれまでと変わらないのに何故減るか。思うに、不登校が問題である人々は多いが、フリースクールはその解決策として存在するものであって、その運営の問題点を見る人は少ないからではないか。例えになるが、お客さんにとっては欲しいものが手に入らないことが問題であって、欲しいものを売っているお店の経営は問題ではない。今回のフォーラムはお店の問題だから、こない人が多かったということではないか。
■しかし、フリースクールの考える教育は、この「顧客−店舗」モデルを崩すことがスタート地点であったはずだ。例えば、北海道・札幌の両自由が丘は「新しい教育・学校を作る研究会」という集まりから始まっている。それは新しい商品を生む店を作る動きでは無かったはずだ。学ぶ人と共に何をどのように学ぶかを話し合う民主的プロセスを経て、自らの意志を他人の力を借りて実現することのできる集団を生み出そうとしたはずだ。それは「お祭り」に近いものではないか。
■話しが抽象的になった。不登校発達障害・ひきこもりの人たちにとっては、既存の学校制度ではなく新たな学びのシステムが必要で、その際には顧客ではなく、楽しむために作る人としても当事者が関わる必要があると思う。フリースクールという営みを楽しみつつ、そこで自分自身が学ぶということ。受け取るだけではなく、その運営にも関わることが、「フリースクール」に集う人へ求められる究極の姿なのかもしれない。