■札幌自由が丘からは、文科省の報告などを引きつつ、不登校を総合的に考えよう、という問題提起がなされた。総合的というのは、学校、民間団体、研究機関といった垣根を越えて討議する場を持とう、ということであり、「全ての子どもに『学ぶ権利』と『安心できる居場所』をどう保障するか」がその柱となる。
■北海道こどもセンターと北海道高等学校教職員センター付属相談所からは、相談事例に見る子供、家庭、学校の「現状」報告。相談は貴重なデータだ。実践交流と現状分析はこういった研究集会の両輪であり、データから問題を明確にすることが、札幌自由が丘の提起した「総合的」な考察に通ずる。惜しむらくは報告から自由に考察するには時間が足りない。報告者のまとめが結論になってしまったのが物足りない。
■童夢学習センターの実平さんは、自らが実行委員を務める「全道のつどい」の、10年の歩みをまとめたレポートを発表。親の会の役割が改めて示された。また、つどいを続ける中で、当事者、元当事者の青年たちが、自分たちの集まりを開くまでの経緯が紹介された。今年の「全道のつどい」に集まった不登校当事者は20名を超える。何を話してたかは知らない。だが、レポートによれば既に来年に向け動き出しているらしく、当事者の運営する当事者の会は今後も継続するようだ。ひょっとしたら、この会が「全道のつどい」のメインになる日が来るかもしれない。そういう期待をさせるレポートだった。
■この分科会を始めるにあたり、共同研究員から示された討議の柱は3つ。
しかし、これらは札幌自由が丘の問題提起の中で散発的に語られたのみで、通底した話にはならなかった。結局、「不登校」という言葉について漠然とした印象をみなが語り、共有するでもなく反論するでもなく、なんとなく終わりになってしまう。実践交流には参加者が足りない。現状分析には時間がない。両輪の回ってない状態で、来年度以降、広報と進行は一考を要する。