漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

2008年合同教研全道集会(その1)

■「不登校・登校拒否・高校中退分科会」は2日間とも10名程度の参加(司会、共同研究院除く)。レポートは6本。内訳は教員からが2本、フリースクールから1本、相談機関から2本、親の会から1本。

■道南の小規模校からは、いじめを受けて転校してきた子供のへの関わりが報告された。クラスメイトともうまくいき、行事にも参加、めでたしめでたしというレポートになるはずが、やはり人間関係が原因で先月半ばより不登校状態になる。図らずも、いわゆる「初期対応」ただ中のレポートになった。

■この先生の不登校の生徒に対する基本方針が書かれていたので抜粋する。

  • 登校する事だけをねらいにして、それにとらわれないこと
  • 本人が頑張ろうとすることを紡ぎだし、(登校しようとする頑張りに限らない)出来るだけ応援していくという事
  • 本人が、目標や興味対象を見出す事がまだ出来ていない段階であれば、そうなるまで(または本人が教師に心を開き、その気持ちをこちらに表現するまで)、本人の世界に飛び込み、寄り添い続け、本人が動き出すまで「待つ」という事
  • 受け入れるクラスの体制作り

クラスの体制作りは「本人の級友に対する対面やおもい、不登校の進行状況によります」と断りが入れてある。学校に来なくなっておよそ半月(だから厳密には『不登校』ではない)。まめに会って話ができているのは、この方針が外れてないからだろう。また、自分ひとりが抱え込まぬよう、職場での情報の共有を心がけており、実際にそういう場も用意されているそうだ。

■道北の中学校からは、副担任の役割について考察したレポートがあった。不登校という問題は担任だけが背負うものではない、とこの先生は言う。とはいえ担任にかかる負担は大きい。そこを支えるのが副担任である、というのがレポートの主旨だ。担任と生徒、生徒と保護者、そして生徒と生徒の間に、こうやって調整役を務められる人がいると、関係はぐっと柔軟になる。関係が柔軟になるとやれることが増える。フォローしてくれる人がいれば、失敗を恐れなくていいからだ。

■子供本位の関わり方に職場の協力体制。このレポートを他の教員が聞いてないのは惜しい。それ以上に、他の参加者からの意見が一般論や精神論だったのが残念だ。「子供に寄り添って入ればいつかきっと心を開く」なんて地点はとうに過ぎている。求められているのは、具体的な手法や今後の留意点だろう。実践には実践で応えるのが筋だ。ということで、ケチをつけるつもりで行ったのが、気づけば一生懸命に具体例を伝えていたのだった。なんか悔しい。長くなったので残りは次回。