漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

札幌市自閉症・発達障害支援センターおがる主催 実践報告会

■副題は「〜発達障害児・者支援を考える…次のライフステージを見据えて〜」。報告は青年・成人期/学齢期/幼児期の三期に分けて実践をしている団体が発表を行い、最後にシンポジウムをした。司会はいつもお世話になっているおがるの加藤さん。発表団体は

の六団体だった。

■最初におがるの現状について報告があった。おがるは個別のケースの相談もさることながら、機関支援の向上を目指している。おがるの人員だけでは、広く人数の多い担当地域の相談を受けることは難しい。そこで、研修を積んだ人材のいる機関を増やし、各所で対応できるようにすることを目指している。札幌を全国に先駆けてそうしたモデルタウンにしたいという野望があると話していた。野望の一つで、発達障害について聞いたことも無い人向けの一般研修をしたいという話があった。この日のような報告会をやっても決まってくる人ばかりで、現状を打破し新たな広がりを作りたいとのこと。研修というより、ライブをしたりイベントを通じてやりたいと言っていたので、広報宣伝だ。これは不登校関係の集まりもよく似ていて、ぼくらも嫌気が差しているのだ。以前日誌にも書いたかもしれないが、お笑い芸人を集めてイベントでもしてみたいと思っているので、そんなことしませんかと冗談話のように、加藤さんを誘ってみている。

高等技術専門学院の報告は、特別支援教育に応用できる取り組みがあったと思う。発表者は教員ではなく職員の方であり、福祉畑で過ごしていた人ではない。つまり、教育とも福祉とも距離を置いたところにいた人が、発達障害の支援をできるのだ。中立な立場にいて自由に動ける、遊撃隊のような存在を作ることが、学校には必要なのかもしれない。

■ワークトピアあすかは就労移行支援事業所で、知的障害を持つ人を対象にしている。まず前提として話されたのは、制度としての発達障害者の就労支援は、他の障害に対する支援を援用するくらいしか手が無いということだ。今回報告があったケースも、軽度知的障害と発達障害を併せ持つ人のケースであった。行政からの支援がきちんとあればこそ、就労移行支援事業所のようなこともできる。今回のケースだと、就労のトレーニングを受けた後、事業所の理事長が経営する会社に就職という形を取っていた。そういう事業を興そうとする人材を応援する社会である必要もある。

■琴似小学校の特別支援学級は、昨年度開校130周年の教育実践発表会に向けて「作業学習」という取り組みをしてきたことの報告だった。教材の工夫が写真で沢山出ていて参考になった。一つ一つの手順を可視化する工夫や作業結果を目に見えるようにする工夫は使える。ちょっと気になったのは、「頑張ったらいいことがある」という概念を教えるというところ。それはそれで子供らに伝えて感じてもらいたい部分なのだけれど、他の所の発表でもそれを伝えることに重きが置かれていて、バランスが悪い気がしたのだ。仕事をしようという原動力は色々とあるわけで、報酬は他から与えられるもので無かったり、報酬が無くてもやる気になることがあったり、いやでもやろうという時もあったりする。基盤として「頑張ったらいいことがある」を身につけた後、どのような展開をしていくのかも考えていく必要があるのではないか。

■長くなったので後半に続く。今度は待たせないよ。