「国旗・国歌 企業も尊重を」御手洗ビジョン提言発表
日本経団連(御手洗冨士夫会長)は1日、今後10年間を見据えた将来構想「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)を正式に発表した。産業競争力の強化策を求めるほか、企業や官公庁が日常的に日の丸を掲げ、君が代を斉唱することを初めて提言。憲法9条の改正も求めるなど政治色が極めて強く、安倍首相の主張に近い内容となった。
御手洗ビジョンは約140ページ。「希望の国」の実現に向け、イノベーション(革新)の推進や経済連携協定の締結促進、税制改革、道州制の導入、労働市場改革など19の優先課題を提示した。19の課題ごとに国の10年間の姿を描き、さらに「中間目標」として2011年までに取り組む計114の具体策も提示した。
日の丸、君が代については、19の課題のうち、「教育再生、公徳心の涵養」(計7ページ)の項目に盛り込まれた。
「新しい教育基本法の理念に基づき、日本の伝統や文化、歴史に関する教育を充実し、国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む」「教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を掲げ、国歌を斉唱し、これを尊重する心を確立する」ことが明記された。
「愛国心」の必要性も強調された。現在の教育には「公徳心の涵養という視点」がかけていると指摘し、公徳心について「基本的な価値観を共有する共同体の一員という自覚を持つことにより育まれる」とした。
さらに「愛国心を持つ国民は、愛情と責任感と気概をもって国を支え守る」と記述。「戦前回帰」批判を避けるため、「愛国心は、侵略や軍国主義とは無縁」との考えを示した。
憲法改正も課題の一つに位置づけ、「戦力不保持をうたった9条第2項を見直し、憲法上、自衛隊の保持を明確化する」と提言。「国益の確保や国際平和の安定のために集団的自衛権を行使できることを明らかにする」ことも求めた。
(1/1 朝日新聞)
うっかり「君が代は千代に八千代に」と歌いながら過労死する人を想像してしまいました。恐ろしい。でも、もっと恐ろしいのは、「新しい教育基本法の理念に基づき」となっているところ。「教育」はこうやってどこまでも拡大解釈されていく。たがを嵌めねばダメだ。
■御手洗ビジョンはhttp://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/vision.htmlで読める(要pdf)。教育に関しては、提言のページで数えて、P.77〜P.81およびp.120〜P.121参照。
■それにしても、今まで教育基本法の「き」の字も出さなかったのが、改定後突然言い出すなんて、今回の改定が誰の都合だったのかはっきり分かるな。こういうのは、せめてもう少し間を空けるもんじゃないのか。なめられてる感じがするぜ。